乳腺(おっぱいをつくる組織で乳房の中にあります)が
もともとつくられていない女性や乳房の外科手術を行ったなど特殊な女性を除けば、
妊娠した女性はおっぱいを作る能力をもっています。
その能力を発揮するにはお産の後できるだけ早くから頻繁に赤ちゃんにすってもらうとよいでしょう。
これは母乳をつくるホルモンープロラクチンーが分泌されるだけでなく、
プロラクチンの受け皿も増えるからです。
受け皿を増やしておくとのちのちおっぱいがたくさん作られるので、
母乳で育てるのが楽になります。
極端なことをいうと妊娠したことがなく、
養子をもらった女性でも赤ちゃんに乳房を吸わせていると
ある程度は母乳を与えることができるようになります。
ただし、この場合、副作用でおっぱいをつくるホルモンープロラクチンーが
ふえる薬剤(吐き気止めのナウゼリンなど)を使うことが一般的です。
いかがでしょう・・・自分が妊娠出産してなくても赤ちゃんが吸っていればおっぱいはでるのです。
妊娠中にはプロラクチンもふえており出産と同時におっぱい産生はスイッチがはいります。
お産のあと、すぐに吸わせることができなかったり、
赤ちゃんと離れていた場合にはスイッチONがすこし遅れてしまいます。
この結果、母乳の量がおもったように増えてこないかもしれません。
でも大丈夫。そこからでもできることがあります。
すこしでも母乳を増やしたいという母親には、
授乳前に乳房を温める、授乳中に心地よいマッサージや
乳房を圧迫(赤ちゃんのお口の中に搾乳するイメージ)してみましょう。
母乳がどれくらいつくられるかは、どれだけ乳房から出されたかによって決まります。
従って、母乳を増やしたい場合はできるかぎり「空」になるまで赤ちゃんに飲んでもらうか、授乳後に搾乳してみましょう。
母乳だけでは不十分で人工乳を必要とする女性もいらっしゃるでしょう。
そのようなとき、お母さんは自分への自信、育児への自信を失ってしまっているかもしれません。
そのときに、医療者から“おっぱいたりないから粉ミルクを足しなさい、
赤ちゃんがかわいそうだよ”などといわれると、
“母乳で育てたい”と願っていたお母さんはさらに落ち込んでしまうことでしょう。
このような状況に陥るとおっぱいの量はさらに減ってしまうだけでなく、
子育てにも前向きに取り組めなくなるかもしれません。
そのようなお母さんには、心に寄り添ったサポートが必要です。
お母さんの訴えや気持ちを傾聴する。
母乳で育てたい、育てたかったというお母さんの心の叫びに共感し、
わが子に対する愛情をたたえる。
そのうえで、明日掲載する方法の中でお母さんがやってみたいと思われるものを
やってみるとよいでしょう。
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